本展は、エルサレム(イスラエル)のベツァルエル美術デザイン学院で行われたポスターデザイン・ワークショップの成果を紹介するものです。
学生たちは、フェスティバル「DROGA DŌ(ドローガ・ドー)」のテーマ「記憶の道(Road of Memory)」から発想を広げ、各々の感じ方により表現しました。
制作においては、マインドマップという手法を使い、ひとつの言葉から自由に連想し、思いや記憶、考えを枝のように伸ばしていくことで、自身の中にある「風景」を見つめました。そして、その過程で生まれたイメージや言葉をもとに、彼らは自分自身の体験や感情を形にしていったのです。
マインドマップを用いたこのアプローチは、見た目の美しさだけでなく、心の中にある“本当の思い”をデザインに結びつけることを目指すものです。
作品に込められた線や色、形のひとつひとつには制作者の記憶や感情が息づいており、「個人の中の真実」と「テーマの真実」とが重なり合っています。
ポスターの隅に描かれたシンボルは、フェスティバルのロゴにもなっている漢字の部首「しんにょう」から生まれたものです。
動きや変化を表し、行く・歩むという意味をもつ「しんにょう」は、ご存じのとおり「道(みち・どう)」という漢字の部首であり、「道」や「旅」というテーマとも深く結びついています。
各作品は、このシンボルをもとに独自のイメージを展開し、記憶をたどる旅をそれぞれの視点で描いたものです。これらのデザインを通して「記憶」や「道」がもつ多様な意味を感じていただければ幸いです。
一枚一枚のポスターの前で立ち止まり、作者が歩んだ「心の道」をたどりながら、皆様ご自身の記憶の風景にも思いを巡らせてみてください。
グラフィックデザイナー 山崎 カロル朋樹